アントニオ・グテーレス国連事務総長と「Power of Youth from Hiroshima」のパネリストたち

2022812日 広島(日本) - 広島に原爆が投下されて77年となった8月6日、国連ユニタールは核軍縮・不拡散に改めて声をあげました。平和記念式典などに出席するため広島を訪れたアントニオ・グテーレス国連事務総長と日本各地の若手活動家が非公式に語り合う「Power of Youth from Hiroshima」を開催(国連軍縮部(UNODA)・国連広報センター(UNIC東京)・国連ユニタール(UNITAR)・広島県/へいわ創造機構ひろしま(HOPe)共催)。核軍縮・不拡散の課題や核兵器のない世界を実現するための革新的な解決策についての意見交換を世界に配信しました。

事務総長との対話にはユースパネリストの他、広島県(日本)内を中心とした中高生22名が参加しました。当日の模様は英語と日本語でライブ配信され、UN Web TVUNITAR YouTubeチャンネルUNITAR Hiroshima YouTubeチャンネルを通じて、世界各国から1,255名の視聴者が集まりました。

パネリスト:

20228月に開催された「核兵器の不拡散に関する条約NPT10回運用検討会議」と並行して行われたこの対話セッションでは、事務総長は参加者の革新的なアイデアを直接聞きました。

セッションの冒頭には、事務総長から若い世代への謝罪の言葉がありました。

私の世代を代表して、皆さんの世代に残してしまう世界の現状について謝罪したいと思います。

次代に役割が移っていくなか、若者が自ら行動し、責任を引き受けていく大きな力をもっていると述べました。気候変動や不平等など、核軍縮不拡散にとどまらず様々な分野の課題についても語り合いました。すべての世代が協力し合い、覚悟とくじけず挑み続ける力強さを身につけるよう激励しました。また、技術革新は、若者にとっての新たな軍縮の手段を追求する機会とともに、これまでにないリスクもももたらしうることにも言及しました。

人類を救い、将来の世代を守るためには、核兵器や通常兵器の不拡散と同様に、軍縮が重要であると強調しました。

Power of Youth from Hiroshima

自らの世代の意見を表明する機会を十分にもつことや、活動の多様性・包括性を追求することは、若手活動家たちが直面している共通の課題です。

私たちは理想主義者であるとか夢見がちだと評されることもありますが、そうではありません。私たちが追求しなければならない現実的なアイデアなのです。-倉光静都香

パネリストたちは、地域、国、世界のリーダーたちに、若者を交えた議論を行い、意思決定の幅を広げるよう呼びかけました。

彼らはすでに持続可能で包括的な方法で平和に向けて取り組んでおり、核兵器は社会的な団結や地球そのものへの脅威であることも訴えました。

世界のリーダーのみなさん、すべての人々に軍縮のための教育へのアクセスを保障すべきです。英語を話さない人々にとってもです。-浅野英男

2022年は、広島・長崎への原爆投下から77年目にあたります。若手活動家は、年月が経つにつれ、この悲劇が風化していくことを恐れています。広く一般市民を巻き込み、被爆者の話を聞いたり教育を受けたりして声を上げることを促すという使命をもっているのです。

被爆者の大切な言葉を広めていかないといけません。いずれ被爆者の話を聞くことができなってしまうので、今、問題提起をしなければならないのです。-奥野華子

パネリストたちは、それぞれの取り組みを通じて、自分たちなりのやり方で仲間の若者たちに伝えていくことに、明確なビジョンを抱いています。

鍵となるのは、様々な活動家と対話するということです。-中村涼香

世界中の若者たちとブレーンストーミングを行い、的確に状況を把握するための様々なプラットフォームや組織が生み出されています。業界をまたぐ連携を促進し、新たな動きに即応することも可能になってきています。世代間や社会間のギャップを埋めるためのの創造的で具体的な行動につながっています。鈴木健斗さんは、「若者版国連」により若者の参加を促進することを提案。メアリー・ポピオさんは、エンターテイメントの分野との連携により若者にアピールするアイデアを示しました。

グテーレス事務総長は、この対話への感動と感謝を述べて、セッションを締めくくりました。世界中の若者が、政治システムや意思決定プロセスにおいて、自分たちも力を持っていることに気づいてほしいと呼び掛けました。すべての若者が、平和のためのソーシャルメディアキャンペーンを始めとする、あらゆる機会やネットワーク、ムーブメントを生み出し参加するよう促しました。

組織立って、力強く、様々な手段を活用して行動を起こすことです。特に、ソーシャルメディアは重要ですね。

世界中の若い世代に対し、他の世代にも届くよう声を上げ続けることを求めました。様々な政府や機関のリーダーたちが、若者との関係を発展させていることを鑑み、トップダウンであれボトムアップであれ、より多くの機会を創出するためにはコミュニケーションが重要だと述べました。

最後に、湯崎英彦広島県知事から、若者とその取り組みへの感謝のあいさつがありました。平和への意識を高め、機会を広げようとする継続的な努力をたたえ、広島県内での実践にも期待を示しました。

アントニオ・グテーレス国連事務総長

セッションの様子は、国連ユニタールのYouTubeチャンネルでご覧いただけます。

英語:UN Web TV; UNITAR YouTube - Power of Youth from Hiroshima

日本語:UNITAR Hiroshima YouTube - Power of Youth from Hiroshima

会場で傍聴した国連ユニタール青少年大使をはじめとする地域の中高校生は、この対話をライブで見聞きしたことへの感動と、自らも行動を起こす強い決意を語っていました

自分にはない意見を聞くことができて、すごくワクワクしました。広島に住んでいるから、核兵器について考えなくちゃいけないのではなく、別にどこにいようが誰だろうが考える必要があるということを知りました。

「たたかうべきだ」という言葉がものすごく印象に残りました。世界が良くなるために提案をするだけではなく実行し、周りを巻き込んでまきこんで、発信できる人になりたいと思いました。

(核兵器が)実際に使われてしまってからは遅いのです。そんな今だからこそ、団結して核廃絶を訴えていくことの必要性を再確認しました。さらに、現在世界が抱えている問題は数えきれないほどあります。気候変動やジェンダー問題。皆さんのお話を聞いていくうちに、いかに今の世界が危険な状態にあるのかを知りました。

国連ユニタールとは

国連訓練調査研究所(ユニタール)は、1963年の設立以来、研修事業に特化した国連機関として、世界各国の人材開発を支えています。スイス・ジュネーブの本部のほか、ニューヨーク事務所、広島事務所、ボン事務所があり、世界中に様々な拠点やネットワークをもっています。持続可能な繁栄局では、広島事務所とジュネーブ本部の職員がともに、起業やリーダーシップ、貿易と金融、デジタル技術、軍縮などについて世界レベルの知識や技術の共有を進めています。アフガニスタン、南スーダン、イラクなど紛争後復興の過程にある国の人々へのプログラムなどには、広島という立地を生かし、原爆投下後から現在の平和都市に至る過程を一つの復興モデルとして研修に組み込むなど、平和で公正な社会の実現にも貢献しています。

広島と平和 | UNITAR

録画 - Power of Youth from Hiroshima (英語)

録画 - UNITAR YouTube - Power of Youth from Hiroshima(日本語)

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