過年度のプログラムで東日本大震災の被災地を訪れ、証言を聴く研修生(2019年11月、宮城県石巻市)

2020年11月6日、広島、日本 - 国連訓練調査研究所(ユニタール)広島事務所は、11月5日の世界津波の日から、今年度の津波防災に関する女性のリーダーシップ研修を開催しております。VR(仮想現実)技術をはじめとした様々なオンライン研修の手法を活用した新たなプログラムとなっており、太平洋小島嶼国より約90名が約4か月にわたり、防災対策における女性リーダーとなるための能力開発を行います。

本研修は、日本政府の支援及び国連防災機関(UNDRR)の協力のもと、2016年から実施しています。過去のプログラムにおいては、2011年の東日本大震災や1995年の阪神・淡路大震災で被災した地域の被害や防災対策にふれたり、「世界津波の日」がこの日に設定された由来ともなった和歌山県広川町で避難訓練などに参加したりと実地で技能を身に付け、女性のエンパワーメントについて学ぶ研修となっていました。

実際に現地で被害の規模やその地域の特性を踏まえた包括的な対策のあり方について体感することによる気付きは何物にも代えがたい反面、今年世界を席巻した新型コロナウィルス感染症の流行が対面式研修を難しいものにしています。

また、近年では新型コロナ感染症などの生物災害と自然災害とが同時に発生するケースも考慮した防災対策が急務となっています。

過年度のプログラムで地元の小学生とともに津波防災に関する行事に参加する研修生(2019年11月、和歌山県広川町)

このため、従来の自然災害に加えウィルスなどによる生物学的災害への対策をテーマに組み込むなど、内容を大きく拡充し、携帯アプリでも学習可能なマイクロ・ラーニングやVRゴーグルを活用した被災地などへのバーチャルツアーなどを導入した新たな研修を開発し、このたび実施することとなりました。

11月5日の初日には、一般の方にもご参加いただけるオンラインセッション「世界津波の日に考える - 包括的な防災対策を目指して」も開催しました。専門家を招き、津波を含む自然災害に関わる現在の状況と世界津波の日の意義、新型コロナウィルス感染症という新たな災害リスクに直面する中で、防災への対策を加速していくために世界が直面している課題と好機について活発な議論が行われました。

研修生は、ジェンダーや防災について専門家による指導や研修生同士の学び合いを経て、自らの地域や職場に適した独自の防災計画を練り、研修最終日に発表する予定です。

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