国連ユニタール広島事務所ではアフガニスタンの経済省と商業産業省の代表20人に国連開発計画(UNDP)アフガニスタン事務所とAfghanistan Civil Service InstituteACSI)協力のもとグリーンエコノミー導入に関する研修を実施しました。研修生は首都カブールの公務員と州の局長などを含み、各自の所属機関で実施可能な政策に焦点をあてて議論しました。

201452026日の日程でグリーンエコノミーの理論および利点や利害関係者への啓発活動の手法などについて学びました。世界各国で経済、社会や環境面での持続可能性を考慮した新たな開発スタイルの模索が始まっている中、グリーンエコノミーの概念は近年国際社会から大きな注目を集めています。研修生はグリーンエコノミーの概念や低炭素で効率的に資源を利用し、誰も排除しないインクルーシブな社会の実現に向けた国際的、地域的、国別またはセクター別の課題やチャンスについて議論しました。

 

本研修受講後には研修生は下記の項目を理解し達成することを目的としています。

  • グリーンエコノミーの概念と利点
  • グリーンエコノミーを導入することによる経済的、社会的および環境的な利点
  • 国にグリーンエコノミーを導入するために必要な条件
  • 主要経済セクターがグリーンエコノミーを導入するための課題とチャンス
  • 環境保全促進のための国家計画策定に必要なプロセス
  • 行動計画書作成に必要な要素
  • 効果的な利害関係者の特定と関係者の理解を得るためのプロセス

講師の講義やプレゼンの後、下記の場所への現場視察を行いました。

東広島市の灌漑施設

  • 広島県の担当者の案内のもと日本の農村地帯で使用されている灌漑施設の視察を行いました。日本全国と地方自治体で導入されている水資源を公平かつ効率的に分配する灌漑施設、農家、行政やその他の関係者の役割や日本の再生可能エネルギー政策などについて職員が説明しました。また、地元の特産品に付加価値をつけ販売ルートを確保する農協などの役割や地方自治体からの太陽光発電への補助金の仕組みについても説明がありました。

広島市西部リサイクルプラザ

  • 広島市中心部に位置する西部リサイクルプラザでは3本のラインにて毎日80トンの再生利用可能ごみの処理を行っています。ごみの仕訳等の処理はすべて手作業です。アフガニスタンで実際にごみのリサイクルを実施する時の参考になるように、効率的かつ高度な技術を必要としない処理方を使用している当センターが視察先に選ばれました。広島市の職員がゴミ処理施設建設に関する政策や地域住民を巻き込み理解を得るプロセスについての説明を行いました。

広島平和記念公園及び平和記念資料館

  • 1945年に広島に原爆が投下された後の広島の復興過程を広島市職員が説明しました。インフラ整備や再開発事業などのハード面と、地域住民の思考や価値観を軍事都市から平和と和解に変えるために必要な政策などのソフト面を組み合わせて広島の復興は進められました。世界の恒久平和を願って建設された平和記念公園と被爆者や被爆の惨状を展示する資料館を訪れ、惨状を後世に伝え平和を願う方法について話し合いました。研修終了後の評価シートには意義深い視察先であったというコメントが多くみられました。

きなり村農園(循環型農園)

  • きなり村農園はたい肥と資源の再利用で農業を実施し、グリーンエコノミーの官民連携の好事例の一つでもあります。農園を訪れた研修生はアフガニスタンの農業との類似点と差異やきなり村農園の手法をアフガニスタンで応用する可能性やそのインパクトについて議論しました。

アフガニスタンに帰国後、研修で学んだことを実際の政策に活かす方法についてカブールで研修を受けました。

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